【近ごろ都に流行るもの】中価格帯ホテル 等身大の個性と癒やし(産経新聞)

 安い客室でも1泊5、6万円などと騒がれた外資系ラグジュアリーホテルと価格破壊のビジネスホテルチェーンが席巻した二極化時代も今は昔!? 1人1万円台程度で泊まれる中価格帯ホテルのほどほどのぜいたく感、個性的な空間やサービスがウケている。見栄を張ることに疲れ、節約にも疲れた時代の等身大の癒やしの場とは。

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 若葉の茂みからガクアジサイの水色がのぞく、JR水道橋駅近くの「庭のホテル 東京」(東京都千代田区三崎町)の小宇宙のような中庭は、武蔵野の雑木林をイメージ。「半月ほどで景色が変わり、小鳥も飛んできます」と木下彩社長(50)が目を細めた。和の趣というと京風のみやびな演出が目立つなか、ここでは気取らずサッパリ粋な江戸東京風が貫かれている。木下社長は江戸っ子。戦前からこの地で営む旅館の3代目だ。

 戦後、ビジネスホテルとして発展したが、建て替えを機に「非日常のぜいたくさではなく、上質な日常を提供できる東京らしいホテルをつくりたい」と、平成21年5月に開業。そのわずか半年後に発行されたミシュランガイド東京版掲載という“快挙”も達成した。「部屋がそんなに広いわけでもない、夜景がステキというわけでもない。驚きました」と木下社長。

 評価はなぜに? 私も1泊してみた。客室の障子やお茶をいれる鉄瓶などシンプルな和のしつらえが落ち着く一方、窓に面した広いバスタブ、大型ハイビジョンテレビなど設備は最新でメリハリが効いている。心地よく目覚め、グリル&バー「流」の朝食ビュッフェで、契約農家が育てた野菜を凝ったドレッシングや生ハムでいただいていると、朝から白ワインが欲しくなってくる。料理長は神楽坂の有名リヨン料理店から移籍した新鋭と聞いて、なるほど〜!

 木下社長は、江戸東京の良さを伝える「三崎町サロン」を開催。なかでも越川禮子さんの「江戸しぐさ」講座は毎回、九州や関西からも客が泊まりにくる盛況で、今月も50人の定員を10人増やして対応した。「みんなが心地よく暮らすために編み出された江戸町人のさりげない気遣いが今、全国から注目されています。私自身もベタベタするのは好きじゃない。必要とされたときにサッと動けるサービスを目指したい」。こんな東京人らしいサラリとしたホスピタリティも人気の要因と見た。

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 東急東横線学芸大学駅から徒歩約10分のホテル「クラスカ」は、この立地で平均稼働率85%を誇る。昭和44年築の老朽化した8階建てホテル「ニュー目黒」がリノベーションされ、飲食施設にギャラリー、店舗を併設したアバンギャルドな施設に生まれ変わった。

 18の客室はおのおの意匠が異なる。ベッドに無数のぬいぐるみがつぎはぎされた作家手作りの客室など、奇天烈なインスタレーションの中での夢はどんな世界か…。

 「ホテルが評価される要素には快適性、飲食、サービス、高級感などがあるが、デザイン性というもう一つの要素でトップを走っている自負がある」とは営業統括の中村明弘マネジャー(35)。

 カラスが針金ハンガーを集めて巣をつくり、新宿副都心、東京タワー、晴れた日は富士山まで見渡せる屋上からの眺めは必見。ディープなリアル東京を感じさせた。

 「安くて寝るだけのビジネスでもなく、高すぎて使えないシティホテルでもない新業態」を掲げ地方都市に9店舗、4月に初めて東京進出した「カンデオホテルズ」など、身の丈出費で楽しめる新勢力が増えてきた。自分らしくくつろげる隠れ家を探してみては?(重松明子)

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“病理医”不足 医療の発展に伴う対策を(産経新聞)

【一筆多論】

 がん治療などで高度な医療が普及するに伴って深刻な医師不足に見舞われながら、その危機的状況があまり知られていない診療科がある。腫瘍(しゅよう)細胞が良性か悪性か見極めるなど治療方針を立てるうえで要になる病理診断科の病理医である。

 もともと病理医の絶対数が足らないうえ、画像診断技術の発達などで早期の小さな病巣がみつかるようになり、検体の数が急激に増えて病理診断の手が回りにくい状況になった。3人に1人はがんで死亡するという時代に、病理医をめぐる環境は今後ますます厳しくなるだろう。

 最近では小説「チーム・バチスタの栄光」に病理医が登場して臨床現場での存在が認識されはじめたものの、患者と接する機会が少ないことから、この分野での医師不足の問題が表面化しにくかったという事情もある。

 病理学は本来、基礎医学の分野で、臨床にかかわるのは昭和30年ごろからと歴史が浅い。病理専門医の数は全国で約1500人。人口比では米国の4分の1以下にすぎない。大学病院などでは、常勤の病理医がいるが、多くても2人という状態。検体の数が毎年20〜50%も増加するのに加えて、手術中に採取した細胞を直ちに診断するなど臨床現場に参加することが多くなって拘束時間が長く、土日も休めない。また、小規模な病院では、病理医がおらず、検体は外部の検査機関に委託するので診断に時間がかかる。

 日本病理学会理事長の青笹克之・大阪大学教授は「職場環境や待遇の改善に加えて大学教育、臨床研修のさいに魅力的な仕事であることをアピールして病理医を増やすことなどを考えています」と強調する。医学生の教育を含め対応策は小手先では解決できないほど切羽詰まっているのだ。

 すでに顕在化している外科、産婦人科、小児科を中心にした医師不足については、平成20年度から医学部の定員増が行われているが、単なる数合わせだけでは解決しない。診療科や地域による偏在は否めず、これを是正するため、厚生労働省は、実態調査に乗り出している。

 こうした医師不足解消のための動きについて日本医学会副会長の門田守人・大阪大副学長は「定員増になっても、外科医の養成に10年はかかる。いまこそ医師不足の神髄を見据えた対策が必要です」と提言する。

 門田副学長は、19年に行った日本外科学会の会長講演で外科医不足の原因として、「労働時間が長い」「医療事故のリスクが高い」「給与が少ない」などを指摘している。このような状況の改善を進めるべきだとしたうえで「たとえば、医学の各学会は先端的な領域の専門医の養成に力を入れている。そうなれば専門外の患者を診ないという医師が出て、医師不足の一因になる可能性もある」と分析する。このため「病気を部分的にとらえるのではなく、人間を全体的に診て治療に当たる医学教育の徹底など医療の本質的な課題に踏み込んだ論議をつくすべき時期です」と断言する。

 医師不足の問題は、今後、医学の発展とともにさまざまな領域から表面化してくるだろう。そのときに患者優先の医療を貫くためにも根底にある課題を解明し、対症療法ではない施策のよりどころとすることが大切だ。(論説委員・坂口至徳)

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